コスモス
……………
「シュウ…」
僕はそっと病室に入る。
いつもの位置に腰掛けて、点滴が繋がれた明日可の手を握った。
「検査…大丈夫だった?」
「うん。大丈夫」
改めて、明日可の温もりを感じる。
…明日可は生きてる。
生きてるんだ。
「シュウ…」
明日可が呟く。
「あたし…諦めない。つらくても、泣きたいくらい苦しくても…生きるよ。みっともないくらい、あがいてみせるよ」
その声は小さく、今にも消えてしまいそうだったけど…強かった。
本当に、強かった。
「うん…」
僕は強く明日可の手を握る。
「生きよう。俺も…絶対、生きる」
朝日が病室に差し込む。
柔らかく、僕等を包み込む。
…希望だ。
これは、僕等の希望だ。
この約束が、『生きる』ことが、僕等の希望となった。