終ワラナイモノ①

疑問

あの入学式の後、教室に戻ったあたしはクラスの女子たちに囲まれてたくさんの尋問を受けた。
『あれはたいへんだった…』
「莉奈がんばったね」
入学式の帰り道であたしと優子はそんな話をしている。
「また恋のライバルが増えちゃったね」
『アイツには彼女がいるからそんなに変わらないよ』
「ふ~ん。
でも拓海が彼女と別れたら?」
『別れないんじゃない?』
「なに怒ってるのよ」
『別に~』
正直、拓海がデキルやつだったことにムカついている。
だって知らなかったんだもん。
すると優子が後ろを見て言った。
「あれ?後ろにいるのあんたの王子様じゃん」
『は?』
私は後ろを振り返る。
ホントだ。でも何で彼女と帰んないんだろ?
今日の朝から疑問に思っていたこと。
拓海なんで彼女と一緒にいないのかな?
ってなんであたしが心配しなくちゃいけないのよ。
この癖直さないとだよね。
本当のストーカーになっちゃう…
あ、帰る方角が違うのかも!
うん、たぶんそれだ。
「また、一人の世界に入ってる…」
『いいじゃん、考え事くらい一人でさせてよ』
「あんた相当な拓海病だよ」
『大きなお世話だし』
「ふ~ん、ていうか今日の夕ご飯何作ってあげるの?」
そういえばどうしようかな?
実はあたしと拓海の家は隣同士で結構仲がいい。
でもあたしと拓海の両親はどちらとも海外の仕事に行っているので、お互い一人暮らし。
そんなわけでお互いの両親から、あたしは拓海のご飯を作る係に任命されてしまったのだ。
まぁ料理は嫌いじゃないからいいんだけど。
「ねぇ、聞いてる?」
『き、聞いてる』
「もう!勝手に一人の世界に入って
いかないでよ」
『ゴメン』
「はぁ。
で、何作ってあげんの?」
『ねぇ優子、話変えるけどさ』
「何?」
『彼女がいる男に他の女が料理作ってあげるのっておかしくない?』
「まぁ世間的にはね。
そんなに心配なら拓海に聞いてみたら?」
『ちょっ、優子声でかい』
「あ、ゴメンねぇ。
でもあんた心配事ができるとひきずっちゃうタイプなんだから、とっとと拓海に聞いちゃいなよ?」
『わかった…』
あたしと拓海の関係って本当に微妙だよね…
友達以上恋人未満とはこのことだと思う。
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