偽物かっぷる
本物になんか

まぁはじめっから
偽物だったからしょうがないよね…

今はもぅ本物になれるとも思ってないから。

ただ今の
楽しい関係が続いてくれればいぃんだ。

だって
今わたし幸せだもん。

毎日2人で笑って
交換ノートだってしてる。

それに
喧嘩もするけど
みんなには本物みたいって言われるし。

欲張っちゃダメだからね。

そんな感じで
わたしは今日も仁哉くんのニセ彼女として過ごしています。

「おはよう、菜恋」

「おはよう、仁哉くん」

「はい。カバンどぅぞ。」

「ありがとう。」

そうして
わたしは自分のカバンの中へ交換ノートを入れた。

いつものようにね。

楽しみだなぁって思いながら。





そして家に帰って
急いで交換ノートを開いた。

そしたら
“菜恋はオレと本物になりたい?”
って書いてあったんだ。

一瞬
呼吸がとまった。

そして
ドク……ドク…ドク…ドクと大きな音をたて始めた。

本物になれないって自覚した直後だったからビックリしたんだ。

まさかそんな事を聞かれるとは思ってもいなかったんだもん。

それでも
そんなぃいように本物になんかなれるわけないって思った。

でも…でもね
やっぱりどこかで期待してたんだ。

もしかしたら
本物になれるかもしれないって。

でも
わたしは素直になれなかった。

“仁哉くんは本物になりたい?”

そぅ聞き返してしまったんだ。

自分の本当の気持ちも言わずに。

わたしは
仁哉くんへの期待と一緒に仁哉くんに甘えていた。



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