偽物かっぷる
変わり始めた想い

毎朝
仁哉くんがわたしのところに
カバンを持ってくる。

そのカバンに交換ノートを入れたり
そのカバンから交換ノートを出したりするんだ。

だから
わたしは毎日仁哉くんのカバンの中を見てる。

信頼してくれてるのかな。

分からないけど…

毎日欠かさず持ってきてくれるから
安心だぁ。

交換ノートが
毎日の楽しみにもなった。

だから
本当は2人の内緒
って言ってたんだけど
気になって気になって学校でコソっと見てしまうこともしばしば…

ごめんなさい。

でも
しっかり詳しく見るのはお家に帰ってからだからね。

そして
また今日も交換ノートがきた。

部活前にパッと見たんだけど
あんまり見えなくて残念。

でもひとつだけ目についた言葉があった。

マ・ン・ゾ・ク?

気になるけど
先輩とかいるし帰ってからのお楽しみにしよぅと思って
部活を頑張った。

そして家に着いて
落ち着いてから
ゆっくりページを開いて読んでみた。

やっと
マ・ン・ゾ・クの意味が分かった。

“菜恋はオレと今の関係で満足?”
そぅ書かれてあったんだ。

はじめは意味が分からなかった。

でも
交換ノートのことを知ってるお母さんにも聞いてもらってちょっと整理ができてきた。

だから
わたしはこぅ返したんだ。

“じゃあ仁哉くんとわたしは本物になる可能性があるの?”
“逆に仁哉くんは満足?”
ってね。

仁哉くんの満足のひとことで
わたしの心の何かが変わったんだ。

小さな儚い音をたてながら
わたしの恋は始まっていった。

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