CHIHIRO
第一章



「あぁ…!いやっ…!」


いつのまにか身体にしみ込んだ“痛いフリ”

こうすれば客は喜ぶ事を知っているから。

わざと僕に痛い事をさせる。
わざと僕は僕を痛め付ける。

別に特別な性癖があるわけでも、すっごくマゾなわけでも無い。


僕はもともと“こう”しなくちゃいけない。



「こうされたいくせに…」


客が言った。

その通りだよ?
僕がとった行動で、客は僕が思った通りの行動を取る。


「嫌がらないで大人しく、犬になってな。」



僕からしたら、僕の思った通りに動くお前が
僕の犬だ。



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