終業チャイム


こいつのガキっぽさにはほとほと呆れる。

俺が26んときでもこんなんじゃなかったぞ。


でも、まぁ





「だけどな、それはキッカケにすぎない。お前は憧れだけで俺に人生よこしたんだ」





“もしもあたしが懐いていたら、先生はあたしを好きになってくれますか”




言うとおりだよ。







「ざけんな。今更返すつもりもねぇよ」








途端に妻が、堪えてた涙が溢れ出して俺の胸に寄り添ってきた。


俺は包み込むように背中に優しく腕を回した。




体温も、匂いも、補習のときとはまったく違うけれど

体に染み込む、彼女の涙のぬくもりだけがとても愛おしく感じた。



「好き」という言葉だけ、互いに厭きることなく繰り返し


その言葉を決して告げることのできないひとりの少女の顔を思い浮かべては、

発した言葉の数だけ流れた、涙。





‐fin‐


< 36 / 36 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:2

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

あおぞら。
もり子/著

総文字数/23,716

恋愛(その他)65ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
この時間が、この恋が 永遠に続けばいいと 本気で、そう願っていた。 ねぇ、そら。 あなたのいないわたしの世界は こんなにも色褪せて見えるよ。 ‐あおぞら。‐ 「あなたの全部を知ってるよ」 見知らぬ少女が、わたしの目を見て静かにそう言った。
プラスマイナス、
もり子/著

総文字数/60,025

ファンタジー159ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
世界を変えろ。 「会いに来たよ」 この世は数式で出来ている。 「鍵は、ひとつだけ」 “ゼロ”という数字で、世界は保たれている。 「この世界はとても醜い」 世界を変えるのは、とても容易い。 「“ゼロ”を、“プラス”にすればいいのさ」 〔プラスマイナス、〕 君の世界は、どうか 汚れることなく、輝いていますように。
ハネノネ ‐the world that you saved.‐
もり子/著

総文字数/8,541

ファンタジー19ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
『―――これは、長い時間を独りで過ごす私の、単なる暇つぶしにすぎない。』 私はノートの余ったページに、文章を連ねた。 自分の思いや世界の現状、そして願いを込めて。 いくつ目の冬を越えただろう。 ハネの病でままならなくなった手を、空へ向けて伸ばした。 誰かに届け、と願いながら。 ハ ネ ノ ネ ‐the world that you saved.‐ この世が終わりを告げた後の 誰も知らない、未来の話。 ‐‐‐‐‐ 前作『ハネノネ』の続きになります。 本編をお読み頂いたあとに読まれるのをお勧めいたします。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop