あなたのいのち
ふ た り



それからナツは
毎日コウのお見舞いに行った。

そんなある日―
いつものように
ナツは病院へ行った。


コンコン。
扉をノックした。

「はい」


女の人の声がした。

扉を開けたのは、
ショートカットの髪の女の人。


目元がコウにそっくりだ。

コウのお母さんだ。



「どちら様?」

「あ、えっと…」

あまりにも突然に会ったので、驚いて言葉が詰まってしまった。


「俺の大事な友達。」

コウが代わりに答えた。


大事な、という一言が
たまらなく嬉しかった。



ただ、きっと、いつまでも
友達なんだと思うと悲しくなった。


どんどん欲張りになっていく。
< 28 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop