アイドルまっしぐら!!
初めて、仕事を抜け出した。
空き時間はいつものんびりしてるけど
今日はそういうわけにはいかないんだ。
「……良介。大丈夫だったか?」
「うん!ありがと、光樹。」
僕が光樹に言った作戦、
それは僕が里奈のことを自ら公表すること。
世間に認めさせれば、もう里奈が苦しむことはないから。
……僕の独断だから、後で面倒になるのは目に見えてるんだけど。
「僕、どこが何か分からないからさ、光樹に案内してもらおうと思って。」
「はぁ……とりあえず急ごう。」
僕は、光樹のあとを歩く。
「ここが、中庭。ここから叫べば見つかると思う。」
「……あのさ、何か視線が痛いんだけど。」
周りからたくさんの女の子が寄ってきてる。
「当たり前だろ?変装もしないで、ウロウロしてたら目立つし。」
「……それもそっか。」
周りからはキャーという声があがる。
……でも、今日はアイドルとしての僕じゃないんだ。
男として、大切な女の子を守るために来たんだ。