らっく!!

「さあ…?大原が匡人に殴りかからないことを願うばかりだな…」


そんな適当な…。


2人の顔が見える所に移動する。


「怒ってる…」


予想通り凪ちゃんは頬を軽くひきつらせながら笑顔を振りまいていた。


私にはわかる。


うん、あれはすごく不機嫌な時の顔だ。


それとは対照的に上機嫌な匡人先輩。


こちらも笑顔を振りまく。


「匡人先輩楽しそうだね…」


「あいつの最近の楽しみは大原をからかうことだからな…」


そして凪ちゃんは頬に匡人先輩のキスを受けた。


その時上がったのが歓声なのか悲鳴なのか判別はつかない。


ただ凪ちゃんのその眼は獲物を狙う肉食獣のように鋭かった。


「あんたいつか殺す…」


「やれるもんならやってみろよ」


ステージ上でこんな会話がなされていることにも気づかず、私たちの文化祭は幕を下ろしたのだった。


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