真実の糸
「朱里。」


そう、笑顔で私に話しかけてくるこの男。


稲葉公崇(イナバキミタカ)。
29歳。私の幼馴染み。そして、私の思い人。


でも彼は、私の事を、妹としてしか見ていない。


「きみくん!」


「きみくんって言うな、稲葉さんだろ。一応、俺はまだ、お前の上司だぞ。」


と私の頭を軽く叩いた。


「いったぁ〜。仕方ないじゃない、癖なんだから。」

と私が怒って言い返せば。


「はぁ〜。翔くんは、こんな女の所がいいんだろなぁ〜。」


と私を小バカにしたように、笑う。


私は、きみくんのこの顔が好き。


さっき、私を叩いた大きな手も。


ふんわりと、香る良い匂いも全部。


きみくんの全てが大好きだった。


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