Bar GRANT



ありきたりな感想しか言えない俺に、それでもバーテンダーの女性は、



「お口に合いましたわね」



と、うれしそうに笑みを浮かべた。



「疲れたお顔をなさっていたから、甘い香りのビールを選びましたの」



「疲れた顔、してますか」



「ええ、とっても」



心の中を見透かされたようで、気恥ずかしかった。




< 133 / 224 >

この作品をシェア

pagetop