リセット
何回でもやり直せる人生。

それもおおよその筋書きを知った上で選べる。


もしそうなら、これって最高の人生じゃない。

「あの、まだ名前を伺っていなかったけど。」
「コーディネーターのサエキと申します。」
「コーディネーター?」
「アイさんの人生を色々と提案させてもらっているので。お産まれになった時からですからもう26年のお付き合いになります。」
「それはそれは…お世話になっています。」

アイは不思議に思った。

なぜ自分で自由に選べる人生なのに昨日までの人生を選択したのか。


失敗か成功かはある程度生活しなければわからないのか?

「サエキさん、この人生は幸せです?私時間を無駄にしたくないから…その、出来れば1番幸せな人生を教えて頂きたいな。」

「残念ですが幸せかどうかはわかりません。ただ先程お伝えした通り条件は良いと思いますよ。」

「わかりました。でも38歳っておっしゃったけど私記憶もないのにこの人生馴染めないです。」
「それは大丈夫です。私がここから失礼したらスタートです。記憶も自然と頭に入りますし、今こうやって私と話した記憶はなくなりますから。自然と自分の物になりますよ。」

「そしていつでもリセットして下さいね。」

「では。」
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