<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–
 ちょっと驚いた顔をして、海翔の方を見る。

「そうだよ。だけど、中学になったら『先輩』っていうのかな?」
「そういうことになるのかな。」

 海翔と同じ中学も悪くないっと思う。

 一人でも知り合いがいるだけで、安心できるような気がする。

 だけど、美紫依や、麗羅、恭平とは確か中学が違う。


――やっぱりなぁ。――

 そう思うと、海翔たちから視線を逸らした。

 溶けて小さくなった雪の塊を拾う。

 きっと、仲間がいなくなって寂しいだろうなっと思いながら。


「姉ちゃん、姉ちゃん。」

 自分の世界に浸っていたところに、檀の声が聞こえる。

 その声は、いつもの檀の声とは違う。


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