<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–
 桜の頭の中は、だんだん三年前、桜が小学六年生の時に巻き戻される。

 それと同時に、悲しみが津波のように桜を追いつめ、飲み込もうとする。

 
――あの日を思い出したくない。――

 そんな桜の気持ちとは裏腹に、恐ろしいくらいに思い出してしまう。“あの日”を。

 
 “あの日”さえなければ、今頃、何事もなく海翔に恋することができた。

 “あの日”その言葉で、桜は悲しみに落ちる。

 あと桜の妹檀(マユミ)も。


 勉強も、運動も普通の女の子だった。

 華奢で、小顔のくせに目が大きくて、背が高い。

 うらやましがられる体格。


 性格も普通だった・・・



 
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