彼の隣に生まれついたのは、偶然じゃなく必然だった


「でもさ、来週から本格的に撮影入るじゃん?鈴木レイナも来るし、大丈夫?」

咲が少し言いにくそうに聞いてくる。

「うん、全然大丈夫とはまだ言えないけど。仕事だし、何とかする。」

「何かあったらあたし変わるから、トイレとか行ってごまかしていいからね?何でも言って。」

咲がそんな事言うから。

少し酔ってるあたしは、咲に抱きつく。

「ありがとぉ~、咲ちゃん!…でも大丈夫、優斗君もいるしね。何かさ、今結構あたしすっきりしたっていうか。前よりは祐輔の事、思い出になってる気がするの。気持ちが全部消えたかって言われると違うけど、でも前よりは楽になったっていうか。あぁ、こーやって失恋って乗り越えていくんだなって感じ?」

「…そっか。6年かかったんだもんね、それは大きな一歩だよ。」

咲が軽くあたしの頭を撫でてくれる。

あたしは咲の胸で、また少し泣いた…




< 52 / 111 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop