彼の隣に生まれついたのは、偶然じゃなく必然だった
「でもさ、来週から本格的に撮影入るじゃん?鈴木レイナも来るし、大丈夫?」
咲が少し言いにくそうに聞いてくる。
「うん、全然大丈夫とはまだ言えないけど。仕事だし、何とかする。」
「何かあったらあたし変わるから、トイレとか行ってごまかしていいからね?何でも言って。」
咲がそんな事言うから。
少し酔ってるあたしは、咲に抱きつく。
「ありがとぉ~、咲ちゃん!…でも大丈夫、優斗君もいるしね。何かさ、今結構あたしすっきりしたっていうか。前よりは祐輔の事、思い出になってる気がするの。気持ちが全部消えたかって言われると違うけど、でも前よりは楽になったっていうか。あぁ、こーやって失恋って乗り越えていくんだなって感じ?」
「…そっか。6年かかったんだもんね、それは大きな一歩だよ。」
咲が軽くあたしの頭を撫でてくれる。
あたしは咲の胸で、また少し泣いた…