*恋の味[上]*【完】


−雷斗Side−

「雷斗様、おはようございます。朝食の準備ができました」

「………ん゛」

渋々起きると……8時?!

ありえねぇ……。

「雷斗様!」

「……チッ」

メイドとか鬱陶しい。

あの、くそエロ親父が雇ってきやがった。

俺は執事だけで、十分だと言ってるはず。

あんな汚ねぇ女いらねぇ。

そう思いつつ、食堂に向かった。

「あら、雷斗。おはよう!」

なんで、こんなに元気なんだよ。

…………うぜぇ。

「一緒に食べるわよ」

「なんで、こんな早く起こすんだよ?まだ8時だってのに」

「今日遊びにいくんでしょう?」

「あ?祭りなんて普通夕方からじゃねぇか」

まさか……

祭りが昼からだと思ったんじゃねぇよな?

「あら、そうなの」

はぁ?……最悪。

なんなんだよ、この人。

「いつまでいんだよ」

俺は、まだ部屋にいるメイドに声をかけた。

目の前で、ぱくぱく食べてる奴も含めて。

「えっ、あ、すみません!」

メイドは、ペコッと頭を下げて部屋を出ていった。

「こらっ!メイドさんに謝りなさい!」

何が嬉しくて、女に謝んねぇといけねぇんだよ。

俺もメイドに続き、部屋をでた。

♪〜♪〜

次は携帯かよ。

「もっしも〜し」

この声は……

「湧弥……」

「今日、お前ん家いくから〜」

“ブチッ”

は?マジ?

一方的に喋って切りやがった。

なんなんだよ。

俺は、二度寝することにした。


< 130 / 260 >

この作品をシェア

pagetop