*恋の味[上]*【完】

最愛の人



朝ご飯食べてないから、お腹が凄い空いてる。

「んー、ここから少し距離があるんだ。歩くのめんどくさいからバイクでいい?」

「ぶわぁいくぅぅぅ?!」

翔バイク乗れるの?!

免許持ってんの?!

無免許運転ぅぅー?!

まだ死にたくない!死にたくないー!

「あはは、何考えてんだか知らないけど…俺、族だし免許くらい持ってるよ?」

あ、そうか。族だった。

まだ納得いかないよ。いや、永久に納得いかない。

「ね?俺に命かけてみてよ!」

いやいや、無理無理。

こんなヘンポコリンに命かけてたら、命が何個あっても足りないし。

「じゃあ、強制ね」

そう言って、私の体を持ち上げた。

「うきゃっ?!降ろしてぇー!分かった!乗るからぁー!」

でも遅かった。

言い終わるときには、もう後ろに座っていたから。

「サイッテー!」

翔は私の言葉を無視して、私の頭にヘルメットを被せた。

「ちょーっと聞いてんの?!」

「はいはい」

うわー、ムカつくー。

翔はバイクに跨った。

「出発進行ー!」

“ブォォォォ”

「……ぎゃあー!」

乗り心地は…言うまでもない。


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