*恋の味[上]*【完】

居場所



「3人で帰ろっか!」

せっかくの退院だもの!

「ははっ、なんか変な感じがするな……。娘と…、その彼氏…かぁ……」

「本当にありがとうございます」

「真麻が笑うようになれば、俺は構わない。しっかり愛してやってくれよ」

そんな会話が新鮮で、自然と笑いが零れる。

「あ、お義父さん!忘れてますよ、アレ!」

「…ん?…あっ、危うく忘れるところだったぜ」

「………?」

何?2人して…。

なんか嫌な予感がする。

………のは、気のせい?

だって、あまりにも意外な組み合わせだよ?

すると、2人して微笑みながら、

「「退院おめでとう」」

と、言ってくれた。

「…ふっ……」

「お?泣くか?また…」

雷斗が茶化すように話かける。

カッチーン!

「泣くかボケェェ!」

思いっきり頭を叩いてやった。

「…ぐっ……ってぇな!」

「泣いてんじゃねぇか」

2人がかりか?

乙女に向かって情けない!

「これは……、汗だ!汗!」

「「きったねー」」

「カッチーン」

あ、声に出しちゃった……。


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