*恋の味[上]*【完】


−雷斗Side−

めんどくさい、暑苦しい夏休みに入った。

めんどくさい理由、それは……

「たっだいまー!らーいと!」

でた。

「いい子してた?してたよねぇ!もう、高1だもんねぇー!あははは!」

俺の………母親。

「兄貴いんの?チッ」

と、くそ生意気な弟。

「おかえり」

この2人は、ずっと親父のいるアメリカにいた。

弟、圭斗(ケイト)は中3で、学校なんて行ってない。

もう、高校なんて決まってるから。

俺たちの通う、鶯譌は学力しか求めない。

圭斗は相当頭がいいから、学校いかなくても、うちには受かるだろう。

「久しぶりねぇ!どう?学校は」

「普通」


ハイテンションな、お袋には疲れる。

「兄貴の学校に可愛い子いる?」

このタラシが。

「いるんじゃねぇの?あ、間違っても、桜野ってやつには手ぇだすなよ」

「なになに、彼女?」

「………」

めんどくせぇ。

「お袋ぉぉぉ……がはっ」

「お袋には言うんじゃねぇぞ?言ったら……そうだな、お前がエロ本持ってること、お袋にばらす」

理由付きの口止めしとかねぇと、絶対言うからな。

「わわわぁったよ!んのかわり、言うなよ?」


「約束が守れるんならな」


めんどくさくて、うるせぇ夏休みが始まるなんて………悪夢だ。


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