あんな。めっちゃ、だいすきです。


「ええーと……おか…おか…」

「岡野です、織田山さん」

「ああ〜!岡野さん!!いかんね〜、すぐ忘れてまうんよぉ」



にっこりそう言って、織田山さんが右腕を差し出してくる。


ほそい、しろい腕。



「朝の血圧、そろそろ計る時間かねぇ」

「あ……あっ、そうですね!!すごい織田山さん、ちゃんと時間見てるんですね〜!!」



時計見たら、たしかにもう血圧測定の時間。



血圧。



血圧計のマジックテープをビィって開いて、織田山さんの腕に当てる。


ほんま、ちっちゃい華奢な腕。


ぷにってどこでもつまめるウチのと全然違う。



台の上に叩きつけられた、ぶっとい左腕とも…全然。




『……そんなんで看護師なろうとしとるんか?』




頭ん中に、低い声が何重にもなって響いた。



「あ……あれ………、」



指先が、ふるえる。



なんで。なんで。



体がこわばってまう、緊張する。


ただ血圧、計るだけやのに。



< 129 / 389 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop