あんな。めっちゃ、だいすきです。
目覚ましのアラームににとる音やったから、ちょっとびっくり。
お姉さんがスーツのポケットから、あわてて携帯を取り出す。
「わ、会社からや。ちょっとすみません、ゆっくり見といてくださいね」
お姉さんが携帯を肩にはさんで、玄関を出ていく。
バタン、てドアが閉まった瞬間。
…いっちゃんもいきなりバタン、て床に倒れこんだ。
「えっ!?いっちゃ、な、なにしてんの!?」
「ん?ベッド置くならこのへんかな〜思て」
…このへんかな〜、て。
ここでお姉さん戻ってきたら、ただの変人やんか。
あきれていっちゃんを見下ろしてたら、いっちゃんがふんわり笑って。
ウチに向かって、手を伸ばした。
「みとももおいで。ほら。」
「…………」
…やから。
ここでその手を取って寝転んだんじゃ、ウチも変人になってまうんやってば。
「ん」
「…………」
「…みーちゃん」
「…………。」
…ごろん。
ああ、変人決定。
お姉さん、しばらく戻ってきませんように。