あんな。めっちゃ、だいすきです。
「…え!?え…っとな、じゅ、じゅうはち!?」
「じゃあ日にすると?」
「ええ!?そんなんわからへん!!」
「うん、おれもわからへんわ」
いっちゃんの背中をポカってたたいた。
いっちゃんの笑う声が、ヘルメットの下の耳を流れる。
「いちね〜ん」
「にね〜ん」
「マネせんでか。さんね〜ん」
「よね〜ん」
「ごね〜ん」
「ろくね〜ん」
「はちじゅうね〜ん」
「どんだけ飛んでんねん」
はちじゅうねんろっかげつ。
それっていっちゃんもウチも、おじいちゃんとおばあちゃんやね。
「みとも」
信号待ちやったバイクが走り出したとき、いっちゃんがウチの名前を呼んだ。
「…今日の入浴剤、なににしよか。」
いっちゃん。いっちゃん。いっちゃん。
だいすきやで。
いっつもバイクのうしろに乗るときな、心ん中でそう言うとるの。
…知っとった?
…入浴剤、ゆずがええな。いっちゃん。