あんな。めっちゃ、だいすきです。
話には聞いてたけど、ほんまに4番バッターやったんや。
観客がわきたって、興奮が肌に伝わる。
「志波ーっ!!」
「頑張れーっ!!」
重なるたくさんの声。
ウチも心の中でひっそり応援。
…がんばれ、いっちゃん。
おっきい背中。
しっかりした腕。
バットを構える。横顔。
短めの黒髪のうなじを辿ると、骨ばった首筋。
ピッチャーの手が、1回転して宙を切ったのと、ボールが空間に投げ出されたのと。
カキィン───!!
…小気味良いほどに爽快な音が響いたのは、ほとんど同時やった。
空気を切るようにグラウンドすれすれのところを飛んでいく。
白い、弾丸。
「ナイスヒットーっ!!」
…思わず、おっきい声を出してしまった。
すごいすごい、これ初球ヒットってやつやんなぁ!?
2塁の走者が、3塁に。
いっちゃんは1塁に走ったかと思ったら、ベースを軽く踏んでそのまま。
「…えっ」
…猛スピードで、2塁へと向かった。