あんな。めっちゃ、だいすきです。

ぎゅう、て唇結んで前向いとったら、ピッチャーが投げた球がミットにええ音を立てて滑りこんだとこやった。



「〜おっしゃ三振!!」



いっちゃんと神崎くんが同時に身を乗り出してガッツポーズ。


野球やっとる人って、ほんま野球好きやねんなぁ。

見とってひしひし、伝わってくる。



「今日はピッチャー調子ええなぁ!」

「なんたって俺が見に来とるからな」

「どんだけご利益あるねんお前に」


あはは、てアヤちんが可愛らしく笑う。

ウチも顔がゆるみかけて、でもゆるみきらんうちに、ほっぺたがこわばった。




(ん………?)




じく、とお腹の奥がうずく感覚。


するどくない、じわーって水に垂らした絵の具が広がるみたいな、にぶい痛み。



…気のせい、やろか。



再びワーッと巻き起こった歓声に気を取られて、メガホンを叩く音に気がまぎれて。


ウチはすっかりそんな違和感を忘れて、野球の試合にのめり込んだ。




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