あんな。めっちゃ、だいすきです。


おとうさんらしい、丸みを帯びた字。


おっきかったりちっちゃかったり、大きさのそろわへん文字。



いっちゃんからもらった野球ボールを、ポケットの中でこっそり転がしてみた。


また口元に笑みがこぼれる。



…いっちゃんとおとうさん、考えとること一緒やんか。


おとうさんに似たひとを好きになるって、アレほんまなんかなぁ。


外見は似てないけど…いや、わからんで?


いっちゃんも将来トトロやったりして。


おなかとか、ぽよーって出とったりして。


想像したいような、でもしたくないような。



目を閉じてみたけど…やっぱり思い描けへん。



代わりに浮かんできたのは、ニカって笑ういっちゃんの顔。




不安なことも、心配なことも…全部だいじょうぶって思えてくる、いっちゃんの笑顔。






…きっとな。




きっとこれから待っとるんは、楽しいばっかりの毎日やない。


たぶん、思とるよりずっと忙しくて、大変で。


いっぱい辛くて、しんどくて。



悩まなあかんこと、いっぱい出てくると思うねんか。



…でもな。



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