あんな。めっちゃ、だいすきです。


「痛いー……」

「うん」

「生理くるん早いねんいっちゃんのアホーっ」

「ごめんごめん」

「なんでいっちゃんが謝るんよ〜っ!」

「だってみともがアホ言うから」

「う〜…いっちゃんのアホー」

「はは、ごめんな」



アホー、ごめんなーって。

繰り返すたびに、いっちゃんが涙とかしんどいのとか全部、吸いとってくれとる気がした。



どうしよう、どうしようて思ってたんが消えて。


安心したら、おなかの痛みも少しマシになってきて。


目を閉じる。


…暑い季節の夕方はふわふわして、夜風か気持ちくて、なんかすきや。

いっちゃんの背中に体重をあずける。


ぺたん、ぺたん。

いっちゃんのサンダルの底が鳴る音。



たぶんな。あったかいから。


いっちゃんの背中の温度が、おなかあっためてくれとるから。




いっちゃんがふわぁ、ってあくびをした。

ウチもつられてあくびをひとつ。



「……クマみたいやな」

「いっちゃんのがクマやし」

「クマちゃうし」

「クマやし!」



くまくまくまくま、夜道でアホみたいにやり合って。



ほっぺたをひやり、風がなでる。


いっちゃんの首筋が鼻に当たって。



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