シュガーズ

a summer day



「ねぇ 早苗さん」

「ん?」

「例えばなんだけど……」

「うん」

「とっても足が遅い人に゙速く走れるよ"って励まされたらどう思う?」

「んー……あたしなら嫌に思うな やっぱり」

「……ですよね」


あたしだってそう

嫌な気分になると思う


「それ 何かの比喩?」

「………いや 別に」


何かの比喩

あたしが秦野君に対して言ってしまったこと


゙秦野君らしく生きればいいじゃない"

なんて言うんじゃなかった……

だってあたしが1番できてないんだもん

『知永 衣都』らしく生きてないのに

あんな説教じみたこと真面目な顔して言っちゃった……

うぅ 後悔


「悩みなら聞くよ?」

「早苗さん ありがと」

「例の彼のことかしら?」

「………。」


たぶん いや絶対

早苗さんの言ゔ例の彼"とはハル君のこと


「恋愛は難しいからね」

「………はい」


そう 難しい

ハジメテのことばっかりであたしは全てが手探りだ

何もかもわかんない

あの日以来 秦野君からの連絡はなくて

かと言ってあたしから連絡をとる勇気もなくって

気づけば1週間が過ぎていた

……取り返しがつかなくなりそう

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