美男子症候群!?

あたしが鼻血女子でなければ、そんな風に楽しむことも、もしかしたらできたのかもしれないけど。



残念ながらあたしには、そんな余裕は持てそうにない。





「野宮」




うう、そして今日も危機にさらされるわけです。



拓海くんがうしろから、べったりあたしの背に張りついて、肩にあごを乗せてきた。




「弁当美味そう。卵焼き1コくれ」



「差し上げますので離れてください!」



「それはムリです」




ムリなわけあるかぁぁぁぁ!



拓海くんはあたしにくっついたまま、あたしのお弁当から卵焼きをひょいとつまんで、食べてしまう。


ニヤニヤしてないで助けて親友。



出血多量で死ぬのが先か、篠田さんに呪い殺されるのが先か。


どっちにしろこのままじゃ、待っているのは『死』のみだよ。



「美味い。けど足りない」



「足りないって、拓海くんお弁当は?」



「忘れた」

< 170 / 329 >

この作品をシェア

pagetop