美男子症候群!?


「は~。ハルも案外、罪な女だったのねぇ」



「罪な女? あたしが? なんで」



「あんたにはわかんないでしょーよ」




じゃあ教えてくれればいいのに。



不親切な親友は、ニヤニヤするだけでくわしく話してはくれない。


最近ずっと、こうなんだから。





学校に着くと、まだ拓海くんの姿は教室にはなかった。


昨日変な別れ方しちゃったから、気になってたんだ。



拓海くん、怒ってるかな……。




「あ、ヤバ。今日古典で辞書使うって言ってたよね。忘れてた。
ハル、あたし隣りのクラス行って借りてくるわ」



「うん。あ、隣りになかったら、A組のみっちゃん持ってるかも」



「ん。わかった、ありがと。行ってくる」




そういえば、拓海くんもしょっちゅう教科書忘れただの資料集忘れただのと言って、あたしに見せろって言ってくるけど。


あなたなら喜んで貸してくれる女子が、たっくさんいるんじゃないですかって話だよね。



うん、今度言ってみよ。



……舌打ちされて終わりそうだけど。

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