美男子症候群!?


「よく……わからないんだよね」



「はぁ? なにがわかんないのぉ」



「好き、なのかなぁって、思うけど。でも……運命の人が、別にいるんだ」



「聞いてるこっちがわけわかんなぁい」



「はは……すみません」




篠田さんはパタンと鏡を閉じて、小さくため息をついた。


物憂げな横顔もまた、かわいらしい。




「運命とか、あたしは知らないけどぉ。大事なのって気持ちでしょぉ?」



「気持ち?」



「運命でも運命じゃなくても、とにかく好きじゃなきゃ意味ないじゃぁん。好きじゃない人なんかぁ、好きになんてなれないもん
。……んー? あれぇ? なんかあたし、変なこと言ってるぅ?」




自分で言ったことに首をかしげる篠田さんがかわいくて、あたしはつい笑ってしまった。


篠田さんが言いたいことは、なんとなく伝わったよ。



でも……やっぱり、自分の気持ちはよくわからないままだ。



あたしはたぶん、拓海くんが好きなんだと思う。


篠田さんのおかげで、それがよくわかった。




じゃあ、久木先生のことは?

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