チョコレート大作戦!
「うん。料理に裁縫、家事全般はなんでも得意だから、なにかと使えるのよ♪」
ん、まあ……
鈴さんの言っていることは間違っていない。
あたしだって毎朝毎晩、楓がご飯作ってるし……
ボタンが取れた時や、なにか壊れた時も裁縫してもらってるし……
使えるっちゃあ使えるけどさ。
で、でも鈴さん。
いくらなんでも“使える”は可哀想じゃないですか……
「生活的には不便やヤツじゃないでしょ?」
ま、まあそうなんですけど……
「だから穂香ちゃんもアイツを有効活用してやってね」
「一緒に暮らしている特権よ♪」と笑う鈴さんにつられてあたしも笑った。
チーン♪
そうこう話をしている間にタルトが焼きあがったようだ。
「焼けたみたいね♪」
オーブンを開けた瞬間、タルトの香ばしい匂いが部屋に広がった。
「わあ、いい匂い♪」
トレイに綺麗に乗っかっているタルトは美味しそうなこげ茶色で、思わずよだれがこぼれそうになる。