インプラント
その衝動が体から湧き出るのを抑えられない男だったが

その一面、とてつもない恐怖に襲われていた。




沙希の見てはいけない一面をのぞいてしまうかもしれない。




沙希は茶目っ気の或る普通の女性という男のイメージが

根底から覆されてしまうかもしれないという恐怖。




男は震えた。




しかしこのままでは何も前に進まない。




恐怖を抑え男は目の前に佇む老人に

問いかける決意をした。




老人はなにも言わず黙ってこちらを向いている。

自分の心臓の鼓動が嫌にうるさく感じる。




男は頭を上げ口を開いた。

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