インプラント
魂を持った壁の落書きが

男のまわりを取り囲みやがて足から登り始めた。




浸食されていく体を声も無く見つめる男。




「あはは、彼女はな。20のころに戻りたいとも言っておったぞ!

まあ、そんな甘い事を言う人間にはこの薬がお似合いじゃがなあ!ははは」




老人の高笑いが遠くに聞こえる。




やがて男はどす黒い憎悪に完全に浸食されてしまった。

黒い心の奥底で男の眼だけがぎらぎらと光っている。




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