半熟cherryⅡ

『涼真のウチで何度か会ってんだよ』

「そう、なの…?」

『じゃなきゃ俺が迎えに行ったって茜のコトわかるわけナイだろ?』







初めて会ったのは。

涼真と勉強教えてもらったトキ。





あの頃、俺は小学生。

茜は高校生。





“よくできました♪”





そう言って頭を“クシャ”っとされた。





ただそれだけのコトなのに。

そのトキの笑顔が頭に焼き付いてしまった。





でも。



そのトキの俺には“ソレ”がなんなのか理解する術はなくて。



理解できたのは。



中学に入り。

初めて“彼女”という存在が隣に並んだトキだった。





“あの人のコト、好きだったんだ”





“彼女”はできても。

無意識に茜と比べてて。



“あの人ならこんな風に笑うのかな”とか。

“今なら俺の方がデカいよな”とか。





そういうのって相手に伝わるから。

つきあった彼女となんて。

長続きなんてするわけなかった。



 

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