♂ vs ♀ ~男女寮戦争~《完》【続編完結】
「…だったら、こっち向けよ」

こんな顔、見せられない。

あいつに背を向けたまま、首を横に振った。



「どうして…?」

あいつの声を、背中で受ける。

こういう時、どうしたらいい?

この声が聴きたかったはずなのに、まともに顔を見ることもできない。

あいつの気配を感じながら、あたしは立ちつくしていた。



「あんた、ずるいよ…」

視線を落として、一言ずつかみしめる。

「あたしの気持ち、わかってるくせに」
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