レッテル
出会ったレッテル
「由比、もうゴミすててこなくていいよ。私すててくるから」
私はそう言って、ほうきを掃除箱にしまった。
「えっ、いいの」
由比はゴミ箱をもったまま目を丸くした。
「うん、いいよ。由比すぐ委員会あるでしょ」
私が頷くと、由比はぱっと顔をあかるくした。
「ありがとう!ほんと助かる!いつかお礼するから!」
と由比はゴミ箱を私に預け、理科室からすっとんでった。
理科室は私一人になった。
理科室は南校舎の4階で、本館から聞こえる騒がしい生徒の声は全く聞こえない。
「よいっ…しょと、」
私はごみ箱をもって理科室を出た。


友達の由比から聞いた話だ。
「卯月って優しいってことで超有名だよ、校内で」
私は勿論そんなつもりなんて一欠けらもなく、
「わ、私って優しい?」
「優しいよ!!可愛いし、優しいし、男なら惚れてたな」
と、由比は腕を組んで可笑しなことを言った。
別に容姿は可愛くないと思うんだけどなぁ…

煙のせいで目が痛い。
火の渦の中にゴミを投げいれると、少し火花が散った。
私はごみ箱を雨上がりの地面においた。
「はぁ~あ」
私は膝に顔を埋めるようにしゃがみ込んだ。
富坂卯月。
高校1年生の平均的な女子。
特徴がないのが特徴。
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