あたしの秘密

“誰か”




―ただいま

心の中で呟いて自分の部屋に入った。


学校が終わって遊びに行こうと思ってたけど、
雨と蒸し暑さに負けて家に帰ってきた。


クーラーをつけてテレビをつけて、静かな部屋をうるさくする―


喉がかわいて台所の扉を開けようとしたその時


――ガサガサッ

台所からテレビの音と何かをあさる音―


ど、泥棒…?


まさかそんな訳わないはず…


心臓がドクドクなって警察に通報しようか迷って辞めた。

―警察なんかに通報したらあの世間体を気にする両親が黙ってはいない


とりあえず部屋に戻ってなぜかハサミを握りしめてドアをおもっきり開けて叫んだ。


「だ、誰やっ!」


泣きそうになりながら叫ぶと、
冷蔵庫の扉が開いててその“誰か”は冷蔵庫の中をあさってた―

あたしがつったって動けないでいると、

その“誰か”はひょこっと顔を出した。


見た事もないスーツ姿の茶髪のでっかいお兄さん―

身なりは結構きちんとしてるし、


―だ…れ?


「お前もしかして彩?」

―なんであたしの名前知ってるん?


「誰…で…すか?」


「並木 陸」

そっけなく言って目をそらして椅子に座ってテレビを見てるその“誰か”

は?同じ名前?
え?何?誰…?

完全にパニックになって真っ白な頭―


えーと…


テレビの音が響く異様な空気の中やっと口を開いたその“誰か”


「そのぶっそうな物おろせや。ちび」


自分がまだハサミを持ってた事に気づき、焦って下ろす。

なんかものすごい大阪弁…

それに凄い口が悪いような気がしてカチンときたあたし


「お父さんかお母さんの知り合いですか?」

むかっときたあたしは凄い嫌な態度やったと思う。


「ちっまだ話てないんかいや、くそ。いずれわかるもんやろ。」

1人事のような事を言ってタバコを吸いはじめたその“誰か”―



立ちつくすあたし―


一体全体誰ですか?


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