A Time Limit

過去~その生い立ち~





「おい!待てよ杏里!!」










あんり?










あんりって杏里かな?










いや、まさか…ね。








そうは思ってもやっぱり『あんり』って名前に敏感になっちゃってる俺の耳。











「あのカップル、喧嘩かなぁ?
………千里ぉ?」










俺の目の前でくねくねしたしゃべり方をしているのは同じ大学のサヤ。











…実際あんま好きじゃない。










でもどうしても話したいことがあるっていうから付き合ってやったらこんな店に連れてこられた。










―カタンッ。







『あんり』という子が俺の少し近くを通り過ぎようとしたとき、足音と同時に聞こえた何かが落ちる音。










俺は椅子から立ってなんでかわからないけれどその何かを見に行った。










『ピアス…?』











床の上にはクローバーのピアスがひとつ、落ちていた。










さっき出て行った子を思い出す。










髪は肩よりも少し長め……









このクローバーのピアス……











『あんり』って『杏里』か!?













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