からっぽの恋

平行線

春との買い物から帰ると

部屋は無音の世界だった。




綺羅はまだ寝てるんだ…




私はスーパーから買ってきた食材を

冷蔵庫に入れていく。




春が玄関まで荷物を持ってくれた。

私は玄関から冷蔵庫までの

短い距離しか持ってないのに


とてつもなく重く感じた。



「いつもと…変わらないのに。」


買った量はいつもと変わらない。

平気で運んできたはずなのに…




この違いは何だろう?





自分の手を見つめたけど

何も解るはずはなく。








綺羅が起きるまでは

静かにしていないといけない。

でも、部屋に隠る気分でもなかった。





お湯を沸かして

ココアを入れ

ソファに座った。


湯気をぼぉと見ながら





あの日の事を思い出していた。
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