単細胞生物
渡り鳥のように、自由に飛びたいと思った君の母。
自らの体温を卵にそそぎこんでいた、飛ばない僕の母。
君の母にとって、羽根をうばう存在は愛情を失わせた。
それでも、そんな彼女に僕の母も惹かれ、君の母も、自分以外のものに無償の愛をそそぎこむ僕の母に憧れた。
だからこそ、渡り鳥は卵をアヒルに預けた。
1つの置き手紙を残して。
「フランスに行ってこようと思うの。昔から夢だったんだ。きっとすぐに帰ってくるわ。それまで、娘をよろしくね。」