EGOISTE


「それじゃぁね、ゆず~行ってきます」


ある日の休日、ご主人は大きな荷物を持って玄関で靴を履いていた。


どこへ行くの?あたしは連れてってくれないの??


「行ってらっしゃ~い」


あたしを抱っこした雅ちゃんが、あたしの前足を持ってふりふり。


「ゆず~あたしらはお留守番だね。水月は親戚の人の結婚式だって」


けっこんしき…ってなぁに??


おいしいの??


そんなことを思っていると、ご主人と入れ違いにまこちゃんが来た。


まこちゃん♪いらっしゃいまし~


「来てやったぞ~。水月が北海道で寂しいだろ?」


「は?頼んでないし。ってか寂しくないし。先生の方こそ千夏さんがお友達と旅行で一人だから寂しいんでしょ?」


「はぁ!そ、そんなわけないし!」


雅ちゃんとまこちゃんはしょっちゅうけんかばかり。


顔を合わすと言い合いしてる。


こうゆうのを何ていうのかしらね?


あ、そうそう。


けんかするほど仲がいい。だったわ。


前にご主人が言ってたの。





「ゆずだって水月が居ないから寂しいよな~」


そう言ってまこちゃんはあたしの頭をなでなで。


寂しいけど雅ちゃんとまこちゃんが居てくれれば平気よ。




まこちゃんの大きなてのひらになでられると、あたしとっても気持ちいいのよ。








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