EGOISTE

アロワナ


――――



「キャ~ペンギン!かわいいっ」楠がはしゃいで、走っていく。


「ホントだ」鬼頭もそれに続いた。


水族館に入ってすぐの大きな部屋はペンギンの水槽になっていた。


落ち着いたグレーのカーペット、天井と壁は白で統一されていて、吹き抜けの水槽から日光の日差しが差し込み、淡いブルーの光を落としていた。


夏休みの水族館は―――


予想した通りの人の多さだ。


家族連れの者、連れ同士で来てる奴、でも一番多いのは―――カップルだった。


くっそぅ。俺だってどうせなら千夏と来たかった。


そう言えばあいつ盆休みはどうするんだろ?


実家暮らしだから田舎に帰省することもないし、友達と旅行でも行くのかな。


旅行……千夏と行きてぇな。


そんなことを思いながらぼんやりとペンギンを見てると、


「先生、ぼ~っとしてると、置いてくよ」


と鬼頭が振り返った。


気づくと水月を含む三人はもう順路の向こうへと足を向けている。


あ~、はいはい。


今はお守りに集中しなきゃな。








< 75 / 355 >

この作品をシェア

pagetop