!戦いで人は成長する!
背中に違和感を感じ振り返ると、Yさんがしがみついていた。
『何しとんのや。早よ帰りっ。』
僕は少し呆れながらYさんに言った。Yさんは返事をせず、ただ首を横に振るだけだった。
『目的はなんや?送って欲しいんか?』
と、冗談を言うと、目に涙を浮かべながら顔を上げた。
『うわっ!泣いとるっっ!』
周りには誰も居ないのに「見られたら勘違いされる。」と思い込み、急いでYさんの涙を拭いた。Yさんは、相変わらず率直に聞いてきた。
『教官、私の事好き?』
僕はRさんの時と同じで、
『好きやで。空手仲間として。』
と、答えた。Yさんは涙を拭きながら『それでもいい。だから、嫌わないでよ。』
そう言って微笑んだ。そうこうしてる内に辺りは暗くなっていた。僕は常に懐中電灯を持って来ているし、田舎道は電灯や人通りが少ないのでYさんを送る事にした。
その送り道でYさんが、『教官さ~、みんなに《さん》付けてるやろ?教え子なんやから呼び捨ての方がいいと私は思うよ』
と、何故かタメ口でダメ出しされた。
『はいよっ。今度からそうするゎ。』
軽く流し、家まで送った。
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