!戦いで人は成長する!
地面だと思っていた所はなんと、ふかふかのマットだった。
その四隅を体格のいい兄ちゃん達が持っててくれていた。
僕は涙を堪え、『ありがとう』と、礼を言った。地面に降ろされると恐い兄ちゃんが寄って来て『大丈夫か?』と優しく頭をなでてくれた。その途端、緊張の糸が解けて泣き出してしまった。恐い兄ちゃんがすかさず『男の癖にすぐ泣くな!』
と、また、怒鳴られた。
その後、1時間昼休みをとり、次の練習が始まった。
次は太い杉の木が立ち並ぶ林まで走り、杉の木を素手で殴る練習だった。
今になって考えるとバカな集団にしか思えないが、当時は必死で殴っていた。
杉の木の表面は凹凸が少なくて拳が木の皮で切れる事がない為、そこら辺の木よりも怪我をしにくい。それでもやはり硬くて痛い。
練習が終わっても拳がじんじんして痛かった。その上、拳が紫を通り越し、黒く腫れ上がっていた。手を握りしめる事が出来ない為、物をよく落としてしまうのだ。
そんなこんなで初練習は終わった。明日が思いやられる。そう思いながら眠りについた。
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