つめたい夜とオリオン座
五年生の時の担任…、佐藤は、とんでもない男であった。
何でも、隣の地区の小学校でセクハラ行為を働き、この小学校に来た。という噂があった。

私には一切セクハラはしなかった。
今見ても、歪んだ顔をした、醜い子供だったが故であろう。

その代わり、佐藤も同じことを考えていたようで、何時も、他に忘れた人数分まで殴るのだ。
大の大人が、ひょろりとしたもやしのような子供を。

今となっては、決して許される行為ではない。
いや、当時としても許される行為ではなかった。
むしろ、イジメや『キレる17歳』といったワードが蔓延している時代であった。

だが、私は戦うことを恐れていた。
警察に訴えたら、どうにかして佐藤が牢屋に入る前に私を殺しに来るのではないのかと。
いや、むしろ、クラスメイトに殺される…。

そういった妄想に駈られた。
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