つめたい夜とオリオン座
受験当日。

一応、御嬢様学校ということもあり、
母親には会社を休んでもらい、二人で学校へ向かった。
周りは如何にも良いものを着ていそうな風貌で、こちらはイトーヨーカ堂で買った男物のウインドブレーカーにユニクロのジーパンだ。
日能研の『〇〇学園必勝!』などと書かれた、御守りやマスコットが大量にくっついたカバンもチラホラ見るが、やはり私はイトーヨーカ堂で買った薄汚い、何の飾りもないリュックサックである。
母親も、気張ってエルメスやヴィトンの小物を取り入れているようだが、どうみてもほぼ全身ユニクロファッションだ。


『ああ…、面接のある学校じゃなくて良かった…。』
と、私は肩を撫で下ろした。

母子家庭は偏見の目で見られる。

私は、それを確信していたので、受験ガイドの本を読みながら、面接のある学校は避けておいたのだ。
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