ワンダフルエラー
「…って、ちょっと!十夜、何してんの?」
いそいそとわたしの布団に入ろうとしている十夜に待ったをかける。
「寒いんだろ?」
「…うん」
「俺、こう見えても結構体温高いんだよ」
いやいや、そういう問題じゃないでしょう。わたしが思いっきり警戒していると、十夜はそっと頭に手をおいた。
「嫌だろうけど、今晩だけ我慢しろよ。心配で見てらんない」
十夜が、今までで一番近くにいる。
「大丈夫、サラにだけは何もしないから」
わたしを安心させようと言ったのだろう、その言葉に、なんだかわたしは酷く切ない気持ちになった。
どうしたんだろう。本当。
冷え切った布団が、十夜の体温で温まる。
「…あったかい」
「そうだろ?」
十夜は笑った。
そっと十夜の体に腕をまわして、その体温を全身で感じた。
「あァ、でも自分でやっといてなんだけど、結構キツいな、これ」
ふざけてそう言う十夜に、馬鹿、と呟いてゆっくりと瞼を降ろした。