導く月と花に誓う

そのまま笑い続ける狐燈に、あたしの表情はもはや白ける。





「…すみません…っ
まさか、千秋さまがそのようなことを気にしていらしたとは…っ」







…うん。



……笑うか喋るかどっちかにしようか






「……どうせあたしは嫉妬深い女ですよ」



「…いえ…、そうではありません。
ただ、純粋に嬉しいのですよ」





そう言って、ズイ、と顔を近づけてくる。





「今まで、愛情というものを知らずに過ごしてきたものですから……」



────凄く嬉しいのです。






耳元で紡いだ言葉はどこか複雑そうで…

それでも、あたしに優しく微笑んだ。






似ているようで、似てないあたし達はやっぱり彼が、“妖怪”であるからということだからなのか。





狐燈は、どれだけ自分を犠牲にして苦しみながら、過ごしてきたのだろうか。






いろんな疑問が脳内を支配する。






しかし。






―――それを知る時がゆっくり、少しずつ近づいていることに。





あたしはまだ、知るはずもない。