導く月と花に誓う
気まぐれなのは君と風





みなさん、どうもこんにちは。

黒瀬千秋です。






「ちょ、千秋!見て!
富士山が見える!」




と、あたしの隣にいる親友が肩をバシバシ叩く。





…いたっ、えー、逸れました。





有意義かつドタバタだった夏休みはあっという間に夢幻となり、学校が始まって結構経ったわけですが…




あたし達には、一大イベントが残っていたのです。




そう、只今修学旅行中により新幹線の中でございます。





「あ、ほら!富士山富士山!」


「写真とろ!写真!」



と、こんな感じで始終大盛り上がりのあたしの班。



一方、あたしはというとお察しの通り、

ちらちらキョロキョロ落ち着かない。




「……あたし、ちょっと
飲み物買ってくるね」



そう告げて、あたしはふらり、と通路へ出た。




それから、周りに誰もいないことを確認。




「……なんで、ついてきた…?」


「それは、もちろん。
千秋さまをお護りすることが
私の役目でございますから」


「………」





嬉しそうに、耳と尻尾をパタパタさせる姿に、はぁ…と、どうしようもないため息が底をつかない。











< 251 / 378 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop