導く月と花に誓う
事実を知らされてから、数日。
あたしの『日常』は
すっかり『非日常』へ変わった。
…いや、『非日常』が
『日常』となっただけだ。
何かがポッカリ、と空いたようで
それは、まったく空いてすらいない。
日常は、日常のままで。
何の変わりもなく、時間は確実に過ぎていった。
―――…しんしん、と降る雪の中、あたしはあの神社にいた。
何年もの歳月をかけた樹木は、すっかりその葉を落とし雪に埋もれる。
社も、一目でそこにあるとはわからないくらい、雪に覆われていた。
あの夏の面影は、すっかり夢幻になっていたのである。
その時、モコモコ、と雪を掻き分ける音が聞こえて、ゆっくり振り返ってみれば、そこに一つの黒い影が見えた。